宮城慧【秘蜜】シリーズ短編
「慧《さとる》くん、今日はエッチな授業しよ」
‥‥バカな女だ
俺が教えてヤるよ
センセ
中学生♂×短大生♀
慧は、家庭教師のメグミを心底バカにしていた。
男とお洒落と流行しか頭にない女子大生のメグミは、知識はあっても知恵がないからだ。
中学男子生徒に勉強を教えに来ているはずが、濃いメイクに露出の高い服で家にやって来ては、口からは学問とは無関係の恋愛話。
しかも毎回違う男で、浮気をしただの、されただの。
コッチは受験を控えて大変なんだ。
親の知り合いじゃなかったら、こんなカテキョ断わってる。
この日も慧は机に向かいながら、無意味に横にいるメグミの日替わり恋愛話を聞かされると思っていた。
――が、そうではなかった。
「慧くん……。今日はメグミと、エッチな授業しよっか……」
「……」
慧が返事をしなかったのは、上目使いで5つ下の中学3年生に言い寄る20才の短大生に尻込みした、わけではない。
早熟な慧はそれなりに経験を積み、すでに一人前を気取っていて、飢えた女豹にあきれたからだ。
確かに、今日は誰も家にいないが……、そんなに誰でもいいのか?
この女は
本当にバカだな‥
しかし、それがまたかわいらしいから、尚更タチが悪い……。
「んっ……」
メグミは自分から唇を重ね、積極的に舌を挿入させようとする。
仕事もしないで、この女は……。
無性に腹が立ち、慧はメグミの肩をつかんで突き放す。
「あのな。生徒が高校受験直前で大変なときに、ナニしようとしてんだテメーは」
「あー慧くんっ。先生に向かってテメーなんて言っちゃだめでしょー」
「こんなときだけ先生ヅラすんな。ふざけんな」
「ふざけてなんかないよ。だって私……」
「うるせー。黙れ。……黙って舐めろ」
冗談か、本気か。
メグミを試してみる。
「いいよ……?」
メグミは絨毯の上に膝で立ち、慧のベルトに手をかけると、制服のズボンを膝まで降ろした。
そして、すでに膨らみを見せるトランクスを躊躇なく下げ、内腿に手を置いて舌を這わせる。
徐々に足の付け根に向かわせながら、細い指で二つの陰嚢をそっとなぞると、続いて唇を寄せる。
「……っ…」
メグミが一つずつを口に含んで舌で転がす間、中央で待機する陰茎は放置されていた。
渦巻く情熱を慧が自身に滾らせていると、メグミは溢れる先走りを見つけ、舌でペロリとすくった。
「……く……っ」
そして舌先で裏筋を下から上に向かって舐めあげ、徐々に触れる面積を増やしながら愛撫を繰り返す。
熱く柔軟な舌の表面で敏感な部分をなぞられるたびに、たまらない快感を生み出される。
竿を握り、指で扱きながら舌を這わせるメグミに性感をなぞられる慧は、快楽を得ていることにまた腹が立った。
「……は、っ……」
感じている素振りを隠すために、慧はメグミの髪を撫でて余裕を演じる。
メグミの細い手が滑る袋、舌が這う裏筋、いまだ触れられず怒張した亀頭には激しく血が巡る。
慣れた手付きと淫らな舌の運びは、メグミを通り過ぎた男達を過ぎらせ、慧を苛々とさせる。
人の気も知らず、メグミは焦れてビクビクと震える尖端に気付き、鈴口をチロチロと舌先で舐めると、ゆっくりと唇で覆った。
咥内では熱い舌と頬肉が蠢き、唾液で滑らせ慧の陰茎をやんわりと圧迫していく。
見下ろせばメグミの伏せた目を覆う長い睫毛、すぼめた唇、頬……。
間抜けともいえる表情で男に奉仕する女の姿に、年上に関わらず性欲と征服欲を掻き立てられる。
「エロいな……」
「……んっ……?」
そのうちメグミは思い切り吸い上げながら、指で握りしめた陰茎を、舌と連動させて懸命に擦る。
慧が手を添えたメグミの頭を上下に動かすと、メグミは大きな瞳を向けた。
切なげに濡れた眼差しを送りながら、濡れて光らせたマニキュアの指を動かし、舌が強弱を付け裏筋から亀頭までを舐め上げる。
慧がフェラをされるのは初めてではないが、中学同級生にはここまでのテクと色気はない。
メグミの導く甘い疼きに昂ぶる情欲を堪えきれない、もう放ってしまおうか、だがまだ……
‥‥‥
無理、出るっ!!
「――…は、……っ!!」
ドクドクッと熱い精液を、メグミに吸い取られるまま思い切り射精する。
メグミは残滴まで唇で吸い込むと、ゴクリと喉を鳴らして飲み干し、短く息を切らす慧の顔を見てニコリと笑う。
「どう? よかった?」
「……クソムカついた」
「え、え!? なんでー!?」
さすが男を悦ばせる術は心得ているらしく、――それはむしろ慧の中で、メグミの評価を下げざるを得ない。
「メグミ。オマエな……」
「こらぁ! また先生に向かっ……んっ……」
今度は慧から、メグミの唇を奪う。
こんなに遊んでる女はムカつくから――…、俺がもっと汚してやるよ。
服の上からメグミの胸に触れる。
が、やはり邪魔なので服を胸元まで上げ、白いレースのブラのホックを外した。
こぼれるように姿を現す、形の整った胸。
メグミの大人の魅力。
見つめていると、顔を赤くして睨むようにメグミが口を開いた。
「……見すぎぃ」
あれだけ人のモノを散々に扱っておいて、自分への羞恥はちゃんとあるのか……。
思わず慧はクスッと笑う。
メグミを抱えるように背中に手を回し、乳房から乳首にかけて舌を這わせ、口に含んでそっと転がす。
「ァ、んっ……」
右手はメグミの背中から太ももを伝い、スカートの中に潜らせ下着の上から割れ目をなぞる。
「は、ぁ……慧くぅん……」
下着の横から指を侵入し直接触れると、もう充分に濡れている。
それを脱がせてM字開脚にす、中指をゆっくり沈める。
「ぁ、ああ……んっ……!」
甘い声で、濡れて蕩けるような熱い肉壁をうねらせるメグミ。
……なんて淫猥なんだろう。
慧はすぐ復活していて、早くこの感触を自身で味わいたかった。
だが、まだだ。
あせっていると思われたくない。
薄い茂みをかき分けると、秘部から溢れる透明の蜜は花弁から慧の指に伝い、今にも滴り落ちそうだ。
「すげー濡れてる……」
ゆっくり指を出し入れしながら、それを観察する。
「ゃ、んっ……だって、慧くんが……あっ、はぁっ……」
太ももを伝い落下しようとしたメグミの熱を、慧は思わず舌で舐めてすくい取る。
「ひゃうんっ……!」
そのまま舌を花弁に這わせ、メグミの蜜を絡め取るが、次々にあふれてくる。
「ぁあんっ……慧く……」
「メグミ、クリをひくつかせてんなよ」
花弁の中から指で蕾をむき出し、メグミの顔を見上げながら、舌でくるむように舐める。
「はふぁああっ……! ゃっ……ソ、コ、……感じちゃうぅっ!」
震える突起を舌先でさらに揺さぶり、2本に増やした指を蜜壷に出し入れさせる。
「んんぁあっ……! あ、はぁあんっ! 慧く……っぁああ……!」
グチュ、グチュ、と音を立て、慧の指をきつく咥えるメグミの秘部。
「ぁああんっ! 慧くっ……! ふぅあ……! だめぇえ……!」
内の上壁の柔らかな突起を擦りあてると、その度にメグミは甘い声を弾ませる。
「イくっ……! あっ、イっちゃうよぉお! イっ……あ、ぁあああーっ……!」
ビクビクと中をうねらせながらキツく指を締め付け、昇りつめるメグミ。
その様子に慧は表情を曇らせる。
絶頂が早い、体が快感に慣れている。
感じやすいのは誰に仕込まれたものなのか……。
‥このバカ女
相当遊んでるな
感情は率直に慧自身をやや萎えさせる。
しかしそれは、メグミにとっても同じだったようだ。
「……慧くん、何でそんなに……女のコのカラダ、知ってるの? モテるからって……ちょっとカっコいいからって、生意気だょ~……」
口を尖らせて座り込む。
大人なのに……可愛いらしい。
「今日……中に出しても大丈夫だから、……あっ……」
慧はメグミを押し倒した。
早く挿入したい。
ギンギンにそそり立つ欲求を、メグミの中にブチ込みたい。
膝でメグミの両脚を割り、両手で手首をベッドに押さえ付ける。
「……いくぞ」
言い終わるか終らないかのうちに、慧はメグミの蜜壷を貫いた。
「っあああぁ……!」
快感に顔を歪ませるメグミを、見下ろしながら激しく突いて腰を浮かせる。
「あ、あぁんっ! あんっ、あぁあ……! すごっ……慧く……! あ、……ぁああ! 慧くぅん……!」
慧に快楽をゆっくり味わう余裕はなかった。貫く度に締め付ける秘部に快楽がせりあがり、名前を連呼される度にもう弾けてしまいそうになる。
「はぁぅっ! あっ、ぁああんん、慧くぅん、すごいよぉお! あぁ、ぁあああんっ……!」
激しい喘ぎ声と同調しながら、熱く灼けるような秘部は、慧自身を急くように肉壁を揺らす。 慧は自身で強くメグミの弱点を激しく擦り上げると、メグミは豊満な二つの胸を上下に揺らしながら、カラダを震わせ快感に酔いしれる。
「ぁああっ! ソコ、イィっ……! あぁん! すご、すごいよぉお! ああっ、慧くぅん、イイよぉお、ぁああんっ……!」
……慧は快感を与えられる側より、与える側になって優位に立ちたかった。年下だからといって、ナメられたくはなかった。
それに……今は、家庭教師と生徒じゃなく、ただの男と女として向き合いたい。
その想いが慧を力強くつき動かしていた。体力の限界などより、メグミとの快感のぶつけ合いに励みたかった。
「ふぅあああ! もぅダメぇ、イっちゃう! イっちゃうよぉ! 慧く、慧くぅん! ……ぁあっあああああ……!」
カラダを快感に震わせ、目に涙を浮かばせるメグミ。
その表情に、心音が鳴る。
慧自身を包み込む腟内は激しく伸縮し、程なくして慧は、その中に熱い飛沫をほとばしらせた。
・ ・ ・ ・ ・
「メグミね、赤ちゃん出来たんだ」
「……は!?」
下着を履きながら言うメグミに、ベッドから飛び起きる慧は心底焦った。
……いや落ち着け、俺じゃねー。
今したばかりで、すぐに妊娠するはずがない。
「でもおかげで彼、私と結婚してくれるって! だから……今日のこれは、浮気納めなの」
無邪気に浮気納めと言ってのけるメグミ。
‥‥彼って
どの彼だよ
言いかけた言葉を慧は呑み込む。
「へー。良かったな」
目を合わせずに服を整え、机に向かう。
そろそろ両親が帰って来るはずだ、それに勉強の続きがある。
「あっ! もうこんな時間だ! 私、行かなきゃ!」
思ったより進みの早い時計を恨めしそうに睨み、メグミは慌ただしく身支度する。
「行くって……勉強はどーすんだよ」
だから、親も帰って来るってのに……。
「ごめんね、それじゃ! お母さんにヨロシクね!」
「おい、メグミ……」
慧の部屋のドアを開けて出て行こうとし、振り返って笑うメグミ。
「……じゃあね。勉強頑張って、慧」
パタン、と閉じられたドア。
まるでメグミとの隔たりのように、慧には触れられなかった。
別に、追いかけはしないが。
居ても居なくても、いやむしろ居ない方が勉強ははかどる。
どうせパパになる男の所にでも向かったんだろう。
そう考えると、机に向かうのが馬鹿らしくなり、慧はベッドに身を投げ出す。
シーツには、さっきまで身体を繋げていたメグミの温もりを感じた。
「……何なんだよ。わけわかんね」
同級生とは何回か経験したが、初めて年上の女とヤれた。
友達に自慢出来る。
……なのに、何故だろう。
虚しさの風が胸の穴を吹き抜けていた。
・ ・ ・ ・ ・
あれからメグミは家に来なかった。
身篭ったからと家庭教師をやめて、それきり。
慧といえば、余裕で希望の高校に進学した。
そもそも家庭教師などいらなかったのだ。
新しい環境に慣れた頃、メグミから写真付き葉書が届いたようだが、慧は見なかった。
一緒に映っているであろう男と、その子供など見たくはなかった。
家庭教師としてやって来たメグミとは、約3ヶ月の付き合いだった。
その間ろくに勉強は教わらなかった。
お互いの恋愛話や雑談で、ふざけて笑ってばかりいたから。
メグミが失恋して泣いた時は、『オレがいるだろ、バカだな』とからかっていた。
『うん』と言って笑う、メグミの無邪気な笑顔が好きだった。
あの時は気付かなかった。
この胸の少し苦い、切ない想い。
‥幸せになりなよ
もう浮気なんて
しないように
今は心から切に願う。
さよなら。
二人の秘密は、
ずっと忘れない‥‥。